先日、脳疲労に関して取材に行った時のお話。
禅僧で精神科医もされている
川野泰周先生という先生のお話でした。
先生曰く、
昔の人より今の人の方が、
感情コントロールが苦手、
なのだそうです。
え!
ヒトは進化し続けて、
益々頭がよくなって、
益々理性的になっているんじゃないの?
そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。
私はそう思いました。
川野先生に曰く、
(様々な理由が言われていますが)
現代の方が、感情コントロールが
苦手である理由は
大きく二つあるのだそうです。
①人口密度が高くなり過ぎた
都市部の一か所に集まることで
昔よりも人口密度が高くなりました。
その結果、私たちは複雑かつ多様な
コミュニケーションが必要になりました。
仕事のストレスのほとんどは
人間関係、なんて言いますが
コミュニケーションの必要性が
増えれば増えるほど、
ストレスの増大していきます。
人口密度が高いと精神疾患の発症率が
高くなることもわかっています。
ちなみにそのコミュニケーションは
言葉だけではありません。
ノンバーバルなコミュニケーションも含みます。
肩一つぶつかるのもノンバーバルな
コミュニケーションです。
満員電車がストレスのように、
人口密度が高くなると、
非言語的なストレスも増大するのです。
②情報過多
これは、あまりにも情報が
多すぎるということですね。
例えば2か月前。
テレビを付ければ、
いやテレビを付けなくても
コロナウィルスの情報が常に
入ってきていましたね。
(もちろん今もそうですが)
そして私たちに
「○○が危ない」
「○○をした方が良い」
「将来は○○になるらしい」
などの情報で不安や恐怖をあおります。
これらの不安を増大させるニュースは
ストレスになることももちろんですが、
同時に私たちの注意する力を消費させます。
「注意資源」という言葉をご存知ですか。
私たちが一度に向けられる注意(意識)には
限界があるということです。
今の、この常に情報にさらされている状態は
私たちが外に意識を向けることを誘うため、
自分の内側に自分の内面に
注意資源を向けられなくなります。
この注意資源を内面に向けられないと
自分を考察することができないので
メタ認知機能(自分を客観的にみる力)が
下がるのです。
感情コントロールには
このメタ認知機能(自分を客観的にみる力)が
何より大事ですが、上に分かるように
私たちはこれらが失われやすい時代に
生きている、というわけです。
こんな感情コントロールが
タフな今の時代を生き抜くには
感情コントロールを「鍛える」術が
求められているのかもしれません。