先日ご質問をいただきました。
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はじめまして^^
更新をいつも楽しみにしています。
ご著書も穴が開くほど、読み込んでいます。
おかげさまで、自分自身だけでなく
仕事にもとても役立っています。
病院で働いており、今患者様にCBTと
マインドフルネスの治療をしています。
私はマインドフルネスの担当をしています。
治療開始2か月が経過しているのですが、
病状に関しては劇的に改善し、
ご本人も体感されております。
ですが、この2か月ほどで、ウェイトが3㎏も増え
(体脂肪数値が上がっています)、検証中です。
もともと肥満体型ですが(体脂肪30%超)、
運動量が確実に増えているのに、なぜ???
食べない限り、太る事はないですから、
食べているのだと思いますが、
ご本人は「一日1食だけ」とおっしゃいます。
(今、食事のレコーディングをお願いしているところです)
栄養指導も治療プログラムに組み込もうと、
ご提案させて頂きましたが拒否されてしまいました。
メッセージでご相談させていただいたのは、
この食事に関してなのですが、
①運動量が増えることによって食事量が増す
②ストレス(治ると社会復帰しないといけない)で過食(行為)している
この可能性を考えているのですが、
伊津香先生のご意見を頂けないでしょうか?
ご多忙かと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
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ご質問をありがとうございます。
病院でマインドフルネスの治療を行われているのですね。
こちらに関してできる範囲でお答えしていきます。
※あくまで松尾の個人的見解です。
ご相談内容から推測できる範囲で答えているものであり、
参考程度にご覧ください。
ご質問はダイエットのことで、
食欲と運動の関係に関して書いていきますが、
せっかくいただいたご質問なので関連することも
お話しさせていただきます。
まず、上の分に出てきたCBT(Cognitive Behavior Therapy)とは、
認知行動療法のことです。
うつ病や不安障害の方に対する治療方法として広く使われています。
※日本でも保険適応を受けている治療法です。
名前の通り認知を変えることで行動を変えていくものです。
①認知(考え)のあり方を修正し
②問題に対処することによって
③気分の状態を改善させる
こちらの認知行動療法は精神的アプローチの
治療法としてかなりの進化を遂げていて3世代あります。
【認知行動療法の第一世代:行動療法】
刺激―反応(行動)の一連の流れに着目した療法です。
パブロフの犬などで有名ですが、
何か刺激(音がなる⇒餌が出てくる)があった後に、
心身が反応する(唾液が出る)というこの反応を強化する、
もしくは弱化することを行います。
表面上の心身の反応(行動)を変えていくので
見た目的にはわかりやすいですが、
そこからヒトの行動には目に見えない認知が
影響しているということがわかるようになってきました。
いい方を変えると解釈です。
「タバコ」と聞いて「自分のリラックスタイム!(善)」
と幸せな感覚になる人もいれば、
「煙が臭い、体を不健康にする最悪なもの(悪)」と
不快になる人もいます。
タバコという同じものを見たときの認知(解釈)は違ってきます。
そこで新しく出現したのが認知行動療法です。
【認知行動療法の第二世代:認知行動療法】
認知療法と行動療法を合わせたのが認知行動療法です。
上に挙げたようにまずは認知を変えていきます。
①認知(考え)の在り方を修正し
②問題に対処することによって
③気分の状態を改善させる
この認知が、ある一定の見方しかしない、
間違った認識が出来上がる、
ネガティブなフェイルターが出来上がることで自分が苦しい状態に、
ひいては苦しい行動に結びつくことがあります。
私の講座ではこのフィルターを「心の圧」という表現をしています。
「~しなければならない」「~であるべきだ」のように、
自分の心に出来上がった考え方の癖やフィルターです。
その自分の中に出来上がった自分の認知を
変える(修正する)ことを行うのが認知行動療法です。
そこからさらにステップがすすんで出てくるのが
第三の認知行動療法:マインドフルネスです。
【認知行動療法の第三世代:マインドフルネス認知療法】
マインドフルネスはイマココの気付きだけに着目したものです。
第二世代の認知行動療法と大きく違うのは、
認知を変えようとしないことです。
第二世代の認知行動療法は出来上がった
認知(解釈)を変えることを着地点にしていますが
第三世代の認知行動療法は気づくだけです。
何かしらの刺激に対して発生する認知(解釈)にただ気づいていく、
そうすることで自分の中で立っていた心の波が落ち着いてくる、
という形です。
例)
「私はみんなに馬鹿にされている」
⇒「私は『みんなに馬鹿にされている』ということを考えているなぁ」
⇒「私がそう考えていることをあるがままに観察してみよう」
⇒「生き苦しくなってきた、肩の緊張があるなぁ、
なんだか眉間のしわもよりそうだ、なるほど…」
⇒「あれ?なんか少し落ち着いてきたな。
この落ち着いてきた感覚もあるがままに観察してみよう。
感じる気持ちを全部雲の上に乗せよう。
ああどれも自然に流れ去っていくなぁ。
そうか、気持ちって流れ去っていくんだ。
と思ったこの気持ちも雲の上に乗せよう」
⇒結果的に落ち着く
⇒実践の積み重ねで生きやすくなる
このような進化を経ているのが認知行動療法です。
質問とは関係ないですが、
精神的なアプローチを知るという意味では
とても有効かと思い紹介しました。
続きは次回。
今日もよい一日を(^^)/
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いつかの「日々是迷走」(編集後記)
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会社のスタッフも私のメルマガを読んでくれているのですが
そんな彼女が一言。
「まつヲさんって普段こんなことを考えているんですね」
・・・。
ちゃんと仕事もしています。